デジカメオンライン

2010年07月15日

ソニーNEX-VG10 APS-Cビデオカメラ NEX-5/NEX-3と交換レンズ互換性あり

ソニーがEマウントシステムの交換レンズを装着できるAPS-Cビデオカメラ NEX-VG10 を発表しました。

ソニー、Eマウントのハンディカム「NEX-VG10」を海外発表

遂に登場したソニーのAPS-Cレンズ交換式ビデオカメラ。販売価格も交換レンズ E18-200mm F3.5-6.3 OSS (SEL18200) が付属するモデルで2000ドル、日本円にして18〜20万円程度と家庭用でもプロ向けでもいけるような絶妙の価格帯。オンラインショップではさらに値引きされて安くなるでしょうし、「15万円くらいで買えるかも」という期待感もありますね。交換レンズE18-200mm F3.5-6.3 OSS (SEL18200)単品での希望小売価格は99750円ですし、もしも「NEX-VG10 ボディのみ」が発売されるとしたらかなり安くなりそうな予感も。

センサーは23.4mm×15.6mmという巨大な大きさを誇る「Exmor APS HD CMOSセンサー」、画素数は1400万画素クラス。ということで先に発売されたミラーレスカメラ NEX-5NEX-3 のセンサーとほぼ同じ(流用)だと思われます。センサーサイズが既存の家庭用、業務用ビデオカメラより圧倒的に大きいということで、プロが撮影したような背景が美しく大きくボケたアート感あふれる映像の撮影も楽になりますよ。

最高でフルハイビジョン画質(1920×1080 24Mbps 60fps)とNEX-5の17Mbpsよりも高ビットレート、さすがにミラーレスカメラよりも動画クオリティは上ですね。ISOやシャッタースピード、ホワイトバランスなどもユーザーが自由に設定できるようですし、NEX-5とNEX-3のHD動画撮影機能で最大の不満点だった「マニュアル露出不可」という欠点も改善され、完全なるマニュアル露出が可能なのかもしれません。

集音マイクも「Quad Capsule Spatial Array Stereo Microphone」と呼ばれる高い指向性を持つステレオマイクを採用。嬉しいことにEVF(電子ビューファインダー)も装備されるとのことで、液晶が太陽光により見難くなる屋外での撮影でも安心です。

そして何よりもこのカメラがビデオカメラとして稀有な点は、高性能な光学レンズを使って1400万画素(4592x3056)での写真が撮影可能ということに尽きます。センサーサイズがミラーレスカメラNEX-5やNEX-3と同じAPS-C、交換レンズもEマウント同士で共用でき、しかも画素数まで同じで画像比率も3:2。どうやらAVモード(絞り優先AE)やTVモード(シャッター速度優先AE)まで使えるということで・・・・。

わかりやすくいうと、ソニーがNEX-VG10に何らかの機能制限を設けない限りはAPS-Cデジタル一眼レフカメラと同等以上の写真画質を誇るNEX-5やNEX-3と「同じ画質の写真を撮影できる」というわけですね・・・・。EVFも搭載されているため、むしろNEX-5やNEX-3よりNEX-VG10のほうが写真撮影しやすかったりして(笑)。


ソニーのハンディカムは家庭用、業務用問わず世界のビデオカメラ市場でトップクラスのシェアを誇っています。そのソニーが「Eマウントシステム」というミラーレスカメラ、ビデオカメラ共通の光学レンズを発売し、「交換レンズによるユーザーの囲い込みを行う」というのは業界各社にとって脅威としかいいようが無いでしょう。

NEX-5やNEX-3のダブルズームレンズキットを既に購入されている方は、NEX-VG10でも E18-55mm F3.5-5.6 OSS (SEL1855) や E16mm F2.8 (SEL16F28) が当たり前のように使えてしまうわけです。既に持っているレンズを共有して使える高画質なカムコーダーがあるのなら、わざわざキヤノンやパナソニック、ビクターなど他社のビデオカメラを購入する必要も無いわけで・・・・。

高価な高性能レンズによる「レンズマウント縛り」はキヤノンとニコンというデジタル一眼レフカメラの二強メーカーが数十年もの間行ってきたマーケティングの基本とも言えるユーザー囲い込み策。交換レンズの圧倒的なシェアこそがキヤノンとニコンの絶対的なブランドイメージをつくり上げてきた影の功労者といっても過言ではありません。

そこに小型軽量コンパクトで高性能なミラーレスカメラと、既存のビデオカメラより高画質なAPS-Cビデオカメラという強力な二本柱でソニーが殴りこみをかけるわけですから楽しみですね。はからずもパナソニックもマイクロフォーサーズカメラとマイクロフォーサーズセンサー採用業務用カムコーダー AG-AF100 という二本柱でユーザーの囲い込みを狙うようですし、ますますミラーレスカメラのマーケティング的戦略価値はあがり、ソニーとパナソニック、そしてパナソニックとマウントの互換性があるオリンパスはミラーレスカメラを積極的に開発、販売することでしょう。

多分、ビデオカメラを同様に製造販売しているキヤノンも心の中では「ソニーとパナソニックに続きたいよぅ・・・・」と思っているんでしょうが、古くからキヤノンEFマウントを使用してきたユーザーが多い手前、なかなかミラーレス化に踏み切れないでいます。今既存のユーザーを裏切ってミラーレスマウントに移行してしまうと、ユーザーが一気に離れてしまう恐れがありますからね。

交換レンズでユーザーを長い間囲い込んできたキヤノンが、そのかけがえの無いユーザーにより開発を縛られているというのはなんとも皮肉なところ(笑)。


まあ、ソニーNEX-VG10も第一弾ということもあり、「重量が重い」「映像サイズやフレームレート、ビットレート選択に柔軟性が無い」「高性能とはいえ価格が家庭用としてはやや高い」「今のところレンズラインナップに明るいレンズが皆無」などという欠点もちらほら。いきなり爆発的に普及することはないでしょうが、ミラーレスカメラの普及具合によっては市場状況が一変する可能性もあります。

実際ミラーレスカメラの売り上げは絶好調、付属する交換レンズを所持している人の数も着実に増え続けています。そういう人たちにとって、自分が所持している交換レンズが使えるカムコーダーが発売されることは「自分たちのためにつくられた製品」が増えるということでもあり、メーカーに対してより好印象を持つのは想像に難くありません。いわゆる「メーカー信者」も増え、ユーザーの裾野もどんどん広がっていくことでしょう。

ミラーレスカメラと家庭用ビデオカメラによる相乗効果をシェアアップに直結させるマーケティング戦略が成功すれば、ソニーとパナソニックはカメラ業界の新たな覇者となるはずです。