デジカメオンライン

2010年10月30日

不人気EOS 60DとKiss X4/7Dを比較評価 キヤノンが販売数的大失敗した敗因

キヤノンの EOS 60D 、多くのカメラファンの予想通りあまり売れていないようですよ。

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発売前からインターネットを中心に日本国内、海外問わず酷評を受けていたEOS 60D。本来強力な味方であるはずのキヤノンユーザーからの評判もすこぶる悪く、ある意味予想通りの販売数となっている様子。キヤノンのマーケティング部門だけが「売れる!」と勘違い、これはプロとしてちょっと恥ずかしい結果かも。

売れなかった理由を個人的に分析すると以下の通り。

1. エントリーユーザーには EOS Kiss X4 で十分だった
2. ミドルクラスなら EOS 7D のほうが買う価値があった
3. AFマイクロアジャストメント機能が「意図的に」省略されている
4. バリアングル液晶の意義が薄い、価値が少ない
5. 同時期に発売された強力なライバルカメラの存在
6. とにかく販売価格が高すぎた

1.と2.は社内ラインナップの住み分け的失敗。エントリーユーザー、一眼レフカメラ初心者ならEOS Kiss X4でも十分な画質、性能ですし、ミドルクラスカメラが欲しい人ならより高性能なEOS 7Dを購入したほうが圧倒的にコストパフォーマンスが良かったですから。

3.はキヤノンの悪い慣習「出し惜しみ」的な失敗。前モデルである EOS 50D にはしっかり搭載されていたAF微調整機能「AFマイクロアジャストメント」をわざわざ省略する意味がわかりません。まあ、上位機種EOS 7Dにわざとスペック的な差をつけて売り分けをしたかったんでしょうが、出し惜しみの悪意ばかりが目立ってユーザーに悪印象を与えてしまったのも敗因ですね。

4.は性能的な失敗。ライブビューAF速度が速いミラーレスや半透明ミラーカメラとは違い、液晶モニターを使ったライブビュー撮影でのオートフォーカス速度が極めて遅いキヤノンのデジタル一眼レフカメラにバリアングル液晶を搭載しても・・・・。マニュアルフォーカスやフルHD動画撮影時ならまだ役に立ちますが、コンデジのように液晶モニターをみながら快適にAF撮影したい人にとっては完全に宝の持ち腐れ、無用の長物ですから。そういう細かい欠点がわからない初心者にもバリアングル液晶を「さもありがたいもの」のようにアピールしているのも「初心者騙し」的な悪意が目立って悪印象といえるでしょう。

5.はどうしようもない感じ。今年はソニーがAPS-Cミラーレスカメラ「NEXシリーズ」に続いて非常に高機能で低価格な「スピード一眼」 α33α55 を発売、と大攻勢。また、同時期に発表になったニコン D7000 やペンタックス K-5 といった魅力的なハイスペックカメラの存在もEOS 60Dの存在感をかき消してしまいました。

そして6.・・・・。どう考えてもこれが一番の敗因でしょう。この平成の大不況、家庭の財布の紐が緩まないご時世に価格設定を上位機種であるEOS 7Dの現在販売価格よりも上に設定したらそりゃ売れませんよ(笑)。

Canon EOS 60D: From Snapshots to Great Shots

幸い、売れていないEOS 60Dの販売価格は大幅な値崩れを起こし下落の一途。「販売不振=不人気=駄目なカメラ」というあらぬイメージの悪さも手伝って既にボディのみが8万円を切るまでに。急激な値下がり具合がダメダメさと不人気さを助長してさらなる値下がり、という負のスパイラル状態。

これはチャンス!

実はEOS 60Dは別に駄目なカメラでもなんでもありません。大人気で売れ行き絶好調のEOS Kiss X4と比較しても「ファインダーの見易さ」「防塵防滴ボディ」「シャッター速度」「ISO感度設定」「連射速度」など性能、使いやすさの面でもほとんど上回っていますし。

そしてRAW撮影派には「S-RAW」「M-RAW」が自由に選択できるのも見逃せないポイント。特にM-RAWは必要十分といえる1000万画素サイズと使い勝手も良好。EOS Kiss X4では完全に選択不可ですし、このアドバンテージは写真撮影にはまればはまるほど後々非常に大きいんですね〜。

総合的に判断して、「サイズ」「重さ」「販売価格」を許容できる人ならEOS Kiss X4よりもEOS 60Dを購入したほうが断然オススメだといえるでしょう。ボディの右肩に液晶があるモデルのほうが撮影スポットに行ったときになんとなく「ヒエラルキー的な劣等感」を感じないで済むのも地味にポイントかも(笑)。

視野率100%を謳ってはいるものの実際は97%程度なEOS 7Dと比較してもスペックにそれほど決定的な差があるわけでもありませんし、写真撮影ではあまり役に立たないバリアングル液晶もキヤノンお得意の「EOSムービー」においては付加価値大。動画重視の人はあえてEOS 60Dを選択するという手もありますよ。

急激な値崩れでかなりコストパフォーマンスが高くなってきたEOS 60D。今のところはただの販売数的、商業的大失敗カメラですが、真価を発揮するのはまだまだこれから。スタートダッシュにつまづいて転倒、大怪我したデジタル一眼レフカメラがこの後どこまで華麗に回復できるのか、これは注目ですね。